■ 無防備地区宣言とは ■
戦争に関する条約である「ジュネーブ条約」では、抵抗手段を失った民間人が、敵対する軍隊に無条件降伏を権利があることを明記しています。この無条件降伏が「無防備地区宣言」です。

「無防備地区」とはいったいどんなものなのか?
戦時についての条約でありますので、戦時中のみ有効です。
以下が「無防備地区」についての法源となる条文です。

第五十九条 無防備地区 (ジュネーブ条約)
 1 紛争当事者が無防備地区を攻撃することは、手段のいかんを問わず、禁止する。   2 紛争当事者の適当な当局は、軍隊が接触している地帯の付近又は その中に
    ある居住地区であって敵対する紛争当事者による占領に対して開放されるもの
    を、無防備地区として宣言することができる。

尚、あまり友好的でないお隣の国では以下のような解釈がされているようです。

【成立要件】
 
(1)すべての戦闘要員並びに移動兵器および移動軍用設備が撤去されている
 (2)固定の軍用施設または営造物を敵対的目的に使用しない
 (3)当局または住民により、敵対行為がなされていない
 (4)軍事行動を支援する活動が行われていない


 以上の4項全てが完全に満たされない場合には、無防備地区として認められません。
 上記にあわせて、条文より以下の事が成立要件であることがわかります。

 
(5)戦争状態であり、紛争当事国軍の軍隊が地域に進駐、もしくは隣接地域に進駐し
   ていること
 (6)居住地区でなければならない
 (7)政府が紛争当事者に通告する


上記の成立要件は、実際に戦争状態に陥った場合には守りがたいことばかりです。

(1)戦時においては自衛隊・警察・自警団・自衛を行う全ての住民が戦闘員とみなされ
る可能性があります。こういった住民は0名となるはずはありません。また、移動兵器・
移動用軍用設備とは、必ずしも私たちが想像する兵器類とは限りません。警察の持つ
銃器類、自衛したい住民が使用するだろう包丁やバット、作りうる火炎瓶なども含まれ
るかもしれません。

(2)軍用施設でないものが戦時においては軍用施設とみなされる可能性や、民間住
宅に閉じこもって、物資の強制徴収等に反対する行為等も当然敵対的行為となるで
しょう。

(3)自衛隊・警察・住民の、占領および占領軍による略奪・拷問・虐殺・その他犯罪行為
に抵抗する行為は、犯罪への自衛行為であるにもかかわらず、敵対行為とみなされる
でしょう。

(4)武力行為を問わず、他の地区への協力も禁止されます。隣接区で侵略軍による虐
殺が起こっても見殺しにし、日本の物資輸送等についても無防備地区の通行を認めず、
侵略軍の要求は抵抗も拒否もすることなく全て呑む必要があります。

(5)無防備地域宣言成立するには、日本が戦争状態に陥っている必要があり、侵略軍
が該当地区に進駐しているか目前に迫っている場合に限られます。無防備地域宣言と
は無条件降伏であり、侵略軍を迎えいれてあらゆる要求に応えるという意思表示の事
ですが、それも戦争相手がいなくては誰に占領してもらえばいいのかわかりません。た
ぶん、今無防備地区宣言を行おうとする一部の人々の脳内では、おそらくすでに敵国
に侵略されているヴィジョンが鮮明に描かれていることでしょう。

(6)居住地区との事で、たとえば霞ケ関等は無防備地区にはなれないと思われます。
ただし、霞ヶ関が無条件降伏するということは、日本も無条件降伏していると思われま
すので、無防備地区宣言自体が必要ないかもしれませんね。

(7)政府が通告するはずがないでしょう。住民代表が適切な当局とみなしてもらえるかど
うかは、侵略軍の都合次第となるでしょう。まず審査が必要となるはずです。

そしてなによりも重要な事は、かつて歴史上、無防備地区を宣言しながらも蹂躙された
国は多く存在するのです。詭弁的な主張で、あるいは単純な無視で、過去には無防備
地区宣言は踏みにじられてきたのです。

この宣言がいかに身勝手で、実現可能性が低く、空疎で実がないかがわかっていただ
けたかと思います。
こういった降伏相手がいないにも関わらず、あらかじめ無条件降伏宣言をして自分たち
だけ助かろうという行為(効果が見込めないにも関わらず)を行うよりも、まずは戦争に
反対し、戦争自体が起こらないようにする事が大切です。
平和は戦争前提の条例を作る事よりも、時には困っている国を助け、他国と友好を深
めて、戦争が起こらないように努めることが一番重要なことではないでしょうか?
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